この世界の(さらにいくつもの)片隅に

「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」を観た。
観た、と書いたけど、この映画は「観る」「観た」というより、
主人公のすずさんをはじめ、登場する人物、景色、声、音楽に
「会える、会えた」という感想が私としては正しい。
そして、舞台となる呉の風を本当に浴びたような、
海の香りも嗅いだような気分になる不思議な映画。

戦争の怖さ惨さ、空に戦闘機、空襲警報、照明弾、
胸がつまる場面もたくさんなのだけど、
どんな時も、そこにいる人たちには生活があり、
ひたむきに日々を生きる姿が一番心に残る。
特にすずさんが作る料理のシーン。
食料が手に入らないなか工夫をして料理をする姿に
いろんなことを思った。
コトリンゴさんの素敵な音楽にも
たくさん想像力をもらった。
あっ!あとすずさんのバッグが好き。
中にはいつでも希望が入っている気がする。

映画館を出てから空を見た。
続いていく、すずさんの生活や人生を浮かべた。
平和であること、繰り返せるふつうの日々、時間、会話。
それはとても幸せで特別なこと..と思った。
鳥を逃がそうと懸命に走るすずさんのシーンがある。
自由、叫び、葛藤…こころの声を忘れない。

いつか呉に行きたい。
私もペンとノートを持って。描こう。